不動産評価の種類
不動産の評価額は次の4つあります。
1 地価公示価格
国土交通省が毎年標準地の正常な価格を公示するものです。信頼性が高いとされていますが個別的な事情は考慮されていません。
2 固定資産税評価額
固定資産税を賦課するための基準となる評価額です。3年に1度、地価公示価格の70%を基準に決定されることになっています。
3 路線価格
国税庁が、相続税や贈与税の賦課基準として、毎年路線価図又は評価倍率表のいずれかによって算定するものです。
4 実勢価格
時価です。市場価格とも言います。
おおよそではありますが額は1=4>3>2となります。
遺産分割や遺留分侵害額請求をする場面では不動産の額は実勢価格で評価します。
相続人の中に一方的に遺産分割を進めようとしている人がいると、多くの場合、税理士が作った一覧表、つまり相続税を算出するために使う路線価を前提に提案をしてくるため注意しましょう。
もっとも、地方の不動産は不動産市場が未成熟で実勢価格がつけられないことがあります。その場合には、路線価や固定資産税評価額で合意することが多いです。
実勢価格の決め方
実勢価格を正しく算出するには裁判所の鑑定が必要です。
しかし、鑑定は50万円から100万円ほどかかるため、実際の調停の場面では、お互いに不動産業者に査定を依頼して、その評価額をすり合わせて決めることが多いです。
ここだけの話、弁護士であればいくつか懇意にしている不動産業者がおり、頼めばある程度バイアスのかかった査定書を作ってくれます。
弁護士同士の交渉であればお互いにそれをわかっておりますので、査定書が基礎としている事情に誤りがないのであれば、中間に近い金額で話をつけることが多い印象です。
しかし、投資用不動産だとこのすり合わせがうまくできないことが多いです。
投資用不動産の評価額の算定は、その不動産が産む収益が明らかにならなければ難しいのですが、その不動産を事実上管理している相続人が他の相続人に情報を開示せずブラックボックス化することがしばしばあります。
そうなると査定を出すことが難しくなり紛争が泥沼化します。
不動産価格の評価時
不動産の評価の基準時は基本的には遺産分割時ですが、特別受益を考える上では特別受益があった時の金額をインフレ率等を踏まえて修正した金額を用います。
もっとも、バブル崩壊など急激に評価が変動した場合には公平の見地からこれと異なる基準による場合もあると示した裁判例も存在します。